諸国神社めぐり

住吉神社(福岡市博多区住吉〈はかたくすみよし〉)

住吉神社一の鳥居
住吉神社は,JR博多駅の南西800メートルに西向きに鎮座する。
当社は筑前国の一の宮で,『延喜式』(神名帳)に「住吉神社三座」(筑前國那珂郡四座のうち)とある。三座とも「明神大」である。
現在,住吉神社は全国に二千余社が数えられるが,総本社とされる大阪市住吉区の住吉大社よりも当社の創立が先立つとされ,住吉信仰の始源に位置づけられている。山口県下関の住吉神社とともに「三大住吉神社」と称される。
『古事記』などの伝えるところでは,黄泉の国で亡き妻と会った伊弉諾尊(イザナギ)は「筑紫の日向の橘の小戸の阿波伎原(アハキハラ)」なる所で身についた穢れをそそぎ,その時,住吉三神ほか諸神が生まれ出た。このイザナギがみそぎをした場所に創建されたのが当社であると伝えられている。(西隣に鎮座する天津神社の天龍池がみそぎの地だという。)
現在の祭神は,上記の住吉三神(底筒男命,中筒男命,表筒男命)で,それに加えて天照皇大神と神功皇后を配祀している。
古地図によると,往古はこの一帯まで入り江になっており,当社は海岸に面して建っていたようである。立地も大阪の住吉大社と類似する。

住吉神社二の鳥居と神門
表参道を進むと,二の鳥居の向こうに神門が見える。
住吉神社神門
住吉神社狛犬(吽形)住吉神社狛犬(阿形)
神門の前に狛犬が一対置かれている。明治末年の作だが,古風で趣がある。
住吉神社拝殿住吉神社拝殿(中央)

重要文化財の住吉神社本殿住吉神社本殿(横から)
拝殿の背後に建つ本殿は,元和九年(1623)に筑前藩主の黒田長政が再建寄進したものである。
摂津の住吉大社と同じ,典型的な「住吉造り」で,古式を伝える貴重な建築物である。

住吉神社の摂社
本殿の北に,菅原神社(菅原神),人丸神社(柿本人丸),志賀神社(綿津見三神),船玉神社(猿田彦命)が並んでいる。
住吉神社境内の少彦名神社
西門からの参道の途中には少彦名神社(少彦名命)が祀られている。
このほか,稲荷神社(宇迦魂命)と三日恵比須神社,天津神社もある。

(福岡県福岡市博多区住吉三丁目)
2007.12.8, 2016.7.14, 2018.6.20
福岡(博多)の筑前一之宮 住吉神社(公式サイト)


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