諸国神社めぐり

香椎宮古宮趾(福岡市東区香椎〈かしい〉)

香椎宮古宮趾
古宮趾は,香椎宮本殿の北東150メートルにある。
ここは仲哀天皇の宮があった場所で,天皇崩御の地でもある。
天皇は三韓征伐を促す神託を得たものの,それを疑ったため神の怒りに触れて急死したとされる(『古事記』)。
神功皇后が天皇の神霊をこの場所で祀り,ここが仲哀天皇廟となっていたが,約500年後,神功皇后の神託が下って現在の香椎宮の地に社殿が建てられた。
ところが平安初期ころから,香椎宮は神功皇后のみを祀るものとされるようになったため,仲哀天皇の神霊をこの地に戻して香椎宮の摂社として祀ったという。
大正十四年(1925)に,ふたたび仲哀天皇を香椎宮本社に合わせ,それ以後,この地は「古宮趾」となった。
香椎宮古宮趾
中央に「仲哀天皇大本営御舊蹟」と刻された石碑が建っている。
香椎宮古宮趾
中央の樹木は「棺掛けの椎」と呼ばれる神木である。
神功皇后は仲哀天皇の喪を隠し,天皇の棺を椎の木に立て掛けて御前会議を開いたが,棺から薫香が漂ったという。これが「香椎」の語源だという。
仲哀天皇の崩御と埋葬に関しては,小郡市の御勢大霊石神社に少し異なる伝承がある。

(福岡県福岡市東区香椎)
2011.3.14


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