福島稲荷神社はJR(東北本線)福島駅の東750メートルに鎮座する。
江戸期には福島藩の鎮守として代々の藩主に崇敬された。
永延元年(987),陰陽道博士の安倍晴明が奥羽に下向して吹島(福島)に至り,この地の風光明媚で地味肥沃なるを知り,現在地に社を建てて豊受比売大神を勧請したのが起源と伝える古社である。
現在,豊受比売命に加えて大國主命と事代主命を配祀している。
明治二十八年(1895)に県社に列せられた。
現社殿は昭和十四年(1939)の竣工である。
旧拝殿は,絵馬殿として移築保存されている。元禄五年(1692)の造営と推定される。
元文五年(1740)に社殿造営の記録があるが,この時は本殿のみが造営されたという。元禄五年の建築だとすると,絵馬殿(旧拝殿)は,現存する福島の最古の建築物である。
本殿の右(東)に足尾神社(石祠)が祀られている。
本殿裏に鎮座したが,社殿改築時にここに移された。猿田彦命を祀る。
健脚や足の病の平癒の利益があるとされている。
足尾神社の右に古峯神社と稲荷神社が並んでいる。
古峯神社は栃木県鹿沼市の古峯神社の分社で,祭神は日本武尊である。本殿裏に鎮座したが,本社の社殿改築時に移された。
力石神社は,平成十三年(2001)に境内より掘り出された力石を祀っている。
聖徳太子神社は,昭和十五年(1940)に建築関係者によって設立が計画され,昭和三十七年(1962)に完成した。
御神体は真鍮製の聖徳太子像で,戦時の供出を免れた貴重な尊像である。
西側の参道にも大きな鳥居と社号標がある。
(福島県福島市宮町1-29)
2018.12.4