諸国神社めぐり

宇奈多理坐高御魂神社(奈良市法華寺町〈ほっけじちょう〉)

宇奈多理坐高御魂神社社頭
宇奈多理坐高御魂神社(うなたりにますたかみむすひじんじゃ)は,近鉄(奈良線)新大宮駅の西北西1キロメートルに鎮座する。
当社は『延喜式』(神名帳)所載の「宇奈太理坐高御魂神社」(添上郡三十七座の一で,大社)に比定される古社である。
「宇奈太理」「宇奈足社」「菟足神社」「菟名足社」などの表記が諸史料に見える。
『日本書紀』(持統天皇六年〈692〉)に「新羅渡来の物産を伊勢,住吉,紀伊,大倭,菟名足の五社に貢納した」とあることから,それ以前の創立であり,また伊勢や住吉に並ぶ重要な大社であったことがうかがえる。
式内「宇奈太理坐高御魂神社」は,初め現在地の東方に鎮座したが荒廃したため現在の横井町(南東6キロメートル)に移転し,その後,春日大社境内に勧請されて境内社の「井栗神社」となったとされる。
当社は古地図などに「櫻梅天神」「楊梅天神」などと表記され,法華寺(北東300メートルにある)の鎮守社であったが,明治になって独立した。
当社が現社号に改称して式内社の「宇奈太理坐高御魂神社」に比定されるようになった事情は不詳である。
祭神は,高御魂尊,天太玉命,天思兼命である。
宇奈多理坐高御魂神社社殿宇奈多理坐高御魂神社案内板
閉門されており,社殿には近づけない。
宇奈多理坐高御魂神社本殿
本殿は三間社流造桧皮葺で,室町期の遺構を残す貴重な建築物で,国の重要文化財に指定されている。
本殿の左右に小祠が四宇並んでいる。祭神は天鈿女命,猿田彦命,手力雄命,大宮媛命,豊岩窓命の五柱であるが,祭神と祠の対応は,説明がなく不明。

宇奈多理坐高御魂神社遠景
社地は平城宮跡の東端である。

(奈良県奈良市法華寺町600)
2017.8.25


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