諸国神社めぐり

比賣許曾神社(大阪市東成区東小橋〈ひがしおばせ〉)

東成区東小橋の比売許曾神社参道
比賣許曾神社(ひめこそじんじゃ)は,JR(大阪環状線)鶴橋駅の東400メートルに鎮座する。
祭神は下照比売命(シタテルヒメノミコト)である。
社伝によると創立は垂仁天皇二年(紀元前一世紀?)とされるが,これは下照比売命の夫である朝鮮王族の都怒我阿羅斯等(ツヌガアラシト)の説話が『日本書紀』の垂仁天皇二年の分注に見えることに付会したのであろう。(都怒我阿羅斯等は福岡県香春町の現人神社〈あらひとじんじゃ〉で祭られている。)
初め当社の西800メートルの愛来目山(あくめやま)に下照比売命を祭ったのが当社の起源と伝える。現在,その地に比売許曾神社の摂社の産湯稲荷神社が鎮座する。
その後しばしば兵火に遭い,天正年間(十六世紀末)に,摂社であった牛頭天王社(すなわち現在の鎮座地)に遷座したいう。
現在の祭神は,主祭神のほか,速素盞嗚命,味鋤高彦根命,大小橋命,大鷦鷯命,橘豊日命である。
当社は,『延喜式』の「比賣許曾神社」(摂津国東生郡四座の一)に比定されているが,高津宮(中央区高津1丁目)の境内の比売古曾神社など,候補は数社ある。

比売許曾神社拝殿比売許曾神社拝殿屋根
社殿は昭和五年の造営で,戦災を免れた貴重なもの。銅板葺で唐破風,千鳥破風を持つ。
比売許曾神社本殿
流造の本殿は,拝殿と幣殿でつながっている。

比売許曾神社境内の大国主大神比売許曾神社境内の白玉稲荷神社
境内に大国主社(大国主命)と白玉稲荷社(稲荷大神)が祭られている。

(大阪府大阪市東成区東小橋3-8-14)
2011.2.21


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