諸国神社めぐり

御霊神社(大阪市中央区淡路町〈あわじまち〉)

大阪船場の御霊神社社頭
御霊神社(ごりょうじんじゃ)は,本町駅(地下鉄御堂筋線)の北東500メートルに鎮座する。周囲はオフィス街である。
現在の大阪市西区の東部,すなわち通称「西船場」地域(境内の由緒によると,愛日,中之島,土佐堀,江戸堀,京町堀,靱,阿波堀,阿波座,薩摩堀,立売堀,長堀西部,南北堀江の西部など)の産土神として広く信仰を集めた古社である。
当社の起源は,圓江(つぶらえ)と称する大阪湾の入り江(現在の靱公園あたり)に,天照大神荒魂(瀬織津比売神)と,摂津国津村郷の産土神である津布良彦神(つぶらひこ),津布良媛神(つぶらひめ)を祀った圓神祠(つぶらしんし)だとされる。『文徳実録』には嘉祥三年(850)に圓神祠創始の記事があるという。
文禄三年(1594),石見国津和野藩主の亀井茲矩から宅地の寄進を受け,境内の乾八幡宮(広幡八幡大神)と源正霊神(鎌倉権五郎景政公の霊)を本社に合併して現在地に遷座したという。
寛文年間(1661-72)に社号を御霊社に,さらに元禄九年(1696)に御霊大明神と改称した。
明治六年(1873)に郷社に列せられ,大正二年(1913)に府社となった。
大阪船場の御霊神社社殿
大阪船場の御霊神社社殿大阪船場の御霊神社本殿
大正十五年,境内にあった文楽座(人形浄瑠璃御霊文楽座)の出火に類焼して本殿を焼失し,昭和五年(1930)に再建したが,昭和二十年(1945)に戦火によって再び焼失した。現在の社殿は昭和三十二年(1957)に再建したものである。

大阪船場の御霊神社境内の東宮大阪船場の御霊神社境内の松之木神社と大黒社
境内に「東宮」が建っている。皇大神宮,恵比須神社,猿田彦神社,摂社十二神社(戸隠社,竈戸社,稲荷社,事平社,春日社,多賀社,水神社,大雷社,龍神社,住吉社,菅原社,加藤社)である。
境内には,このほかに松之木神社(松之木大神,朝吉大神)と大黒社(大国主命)の社殿や石塔などもある。

大阪御霊神社参道狛犬(吽像)大阪御霊神社参道狛犬(阿像)
戦火をくぐり抜けた青銅の狛犬は元和元年(1615)制作の貴重なものである。

(大阪府大阪市中央区淡路町4丁目)
2013.8.11

御霊神社(公式サイト)


大阪市神社めぐり