伊居太神社(いこたじんじゃ)は,JR(福知山線)塚口駅の南東800メートルに鎮座する。
社地の下には前方後円墳の存在が確認されている。周濠を備える全長92メートルの巨大な墳墓で,5世紀ころのものと推測されている。
立地から考えて,この一帯に居住した氏族の祖を祀ったのが当社の起源であろうが,創立年代は不明である。
現在の祭神は,武甕槌神,天児屋根命,經津主神,姫大神で,加えて厳島神社(市杵島姫命)と皇大神宮遥拝所(大將軍)を配祀している。
この地を支配したのは坂合部(さかあいべ)であったことから,初めは祖神の大彦命(おおびこのみこと,孝元天皇の御子)を祀ったと思われるが,後に藤原氏の全盛期になって藤原氏の祖神である春日大社を勧請したのであろう。
当社を『延喜式』(神名帳)所載の「伊居太神社」(攝津國河邊郡七座の一)に比定する見解がある。
大阪府池田市綾羽の伊居太神社(いけだじんじゃ)も「式内・伊居太神社」を主張している。
社殿は平成七年(1995)の震災で損壊し,新社殿は同十一年(1999)に竣工した。
参道を石狛犬が守っている(年代未確認)。
本社の横に伊居太稲荷社が祀られているが,詳細は不明。
(兵庫県尼崎市下坂部4-13-26)
2016.7.23