諸国神社めぐり

谷保天満宮(国立市谷保〈やほ〉)

谷保天満宮社頭
谷保天満宮(やぼてんまんぐう)は,JR(南武線)谷保(やほ)駅の南西250メートルに鎮座する。
参道の入り口は,交通量の多い甲州街道(都道256号)に面している。
昌泰四年(901),菅原道真公が太宰府に流罪となった時,御子の菅原道武公は,ここ武蔵の地に流された。
二年後,道真公が配所で薨去し,父の死を知った道武公がみずから道真公の尊容を刻して祀ったのが当社の発祥と伝える。
延喜二十一年(921)に道武公が逝去し,その神霊が相殿に配祀された。
現在は石土毘古神,天之日鷲命,倉稲魂命も祀られている。
初め別の場所(府中市本宿)に鎮座したが,養和元年(1181)に現在地に遷座したという。
天暦元年(947)官社に列せられた。明治十八年(1885)に府社となった。
『舊神祠記』は当社を『延喜式』(神名帳)所載の「穴澤神社」(武蔵國多磨郡八座の一)に比定しているが根拠は不明。稲城市矢野口の穴澤天神社を「式内穴澤神社」とする説が優勢である。
谷保天満宮社殿正面
鳥居から下り坂の参道を進み,右折すると社殿が見える。
谷保天満宮拝殿谷保天満宮拝殿の向拝部分
入母屋造りの重厚な拝殿は江戸後期の造営とされる。
谷保天満宮本殿
谷保天満宮本殿細部谷保天満宮本殿細部谷保天満宮本殿細部
三間社流造りの大きな本殿は寛永年間(1624-1643)の造営とされ,細部に細かい装飾が施されている。

谷保天満宮境内の五社神社谷保天満宮境内の石祠谷保天満宮境内の石塔
本殿の裏に小山があり,五社神社(天照皇大神宮,熊野神社,日吉神社,妙義神社,稲荷神社)と石祠や石塔が祀られている。
谷保天満宮境内の厳島神社
裏参道入口の近くに小池があり,厳島神社が鎮座する。

谷保天満宮境内社
表参道の脇には,淡島社,蒼守社,稲荷社の社殿がある。
谷保天満宮境内の第六天神社谷保天満宮境内の第六天神社社殿
社務所近くに第六天神社が祀られている。
「第六天神社」は神仏習合時代に第六天魔王を祀った神社で,関東地方によく見られる。明治以降は,祭神がオモダル神とアヤカシコネ神に変更された。

(東京都国立市谷保5209)
2015.11.28


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