諸国神社めぐり

白山神社(文京区白山〈はくさん〉)

文京区白山神社参道入口
白山神社は,地下鉄(三田線)白山駅の西100メートルに鎮座する。
天暦二年(948),加賀の白山神社を勧請したと伝える古社である。創立時の社地は,現在地の南方2キロメートル,豊島郡元国木(現在の本郷1丁目付近)である。
元和二年(1616),小石川へ遷座したが,徳川家の御殿造営にともない,明暦元年(1655),現在地に移った。
元禄十六年(1703),火災により本社摂社末社などすべて類焼した。宝永元年(1704)仮殿を再建したが,享保三年(1719)三月ふたたび火災により焼失した。以後数十年間は本殿のみであったが,明治三十二年(1899),拝殿を建設した。
昭和八年(1931)社殿を改修し,翌年,遷座祭をおこなった。
祭神は菊理姫命,伊弉諾命,伊弉冉命である。
文京区白山神社拝殿文京区白山神社拝殿正面
文京区白山神社本殿

文京区白山神社境内の八幡神社
境内に八幡神社が鎮座する。祭神は誉田別命,姫命,八幡太郎義家公である。
永承六年(1051),源頼義と義家が奥州安部氏の征伐(前九年の役)の途に就いた。
街道で敵の伏兵の抵抗があったが,岩清水八幡宮を勧請祈誓して勝利を得た。討伐後ここに八幡神社を創建した。白山神社の境内の地主神である。
昭和五十年(1975)社殿を改修し遷座祭をおこなった。
(創立時より白山神社の境内に鎮座し,白山神社の数度の遷座のつど,とともに移転したと推測されるが,詳細は不明。)
文京区白山神社境内の合祀社文京区白山神社境内の境内松尾神社
富士浅間社,稲荷社,三峯社,国津島社,天満天神社,山王社,住吉社の七座を合祀する小祠(左)と,京都の松尾大社から勧請した関東松尾神社(祭神は大山咋命,中津島姫命)。

文京区白山神社境内の孫文先生座石
境内の一隅に「孫文先生座石」の碑(1983年)がある。
中華民国の建国の功により「国父」と称される孫文は,清朝末期の明治二十八年(1895)日本に亡命し,一時,小石川の宮崎滔天(みやざきとうてん,1871-1922)に寄寓し,援助を得ていた。
明治四十三年(1910)五月中旬,境内のこの場所に孫文と滔天は腰をかけ,中国の将来について語りあい,孫文は祖国の革命を誓ったという。
翌年の十月,湖北省武漢で起きた兵士の反乱に端を発するのが,清朝に終焉をもたらした辛亥革命である。
帰国した孫文は1912年1月に中華民国成立を宣言し,初代臨時総統となった。

(東京都文京区白山5丁目31-26)
2016.12.5


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