諸国神社めぐり

王子神社(北区王子本町〈おうじほんちょう〉)

東京都北区岸町の王子神社社頭
王子神社は,JR(京浜東北線,東北本線)王子駅の近くに鎮座する。
元亨二年(1322),領主の豊島氏が紀州の熊野三社権現から王子大神(伊邪那岐命,伊邪那美命,天照大御神,速玉之男命,事解之男命の五柱)を勧請して「若一王子宮」として祀ったのが起源とされる。
「王子」の地名の由来である。
王子稲荷神社と並んで北条氏や徳川将軍家が篤く崇敬し,家光(三代将軍)による社殿の新造や,林羅山に命じた「若一王子縁起」の著述などがおこなわれた。
特に紀州徳川家から来た徳川吉宗(八代将軍)は当社をしばしば訪れ,飛鳥山を寄進し桜を植樹した(飛鳥山公園)。
明治元年(1868),准勅祭社となり,東京北方の守護とされた。
東京都北区岸町の王子神社参道から拝殿
東京都北区岸町の王子神社拝殿東京都北区岸町の王子神社本殿
旧社殿は戦火で焼失し,昭和三十九年(1964)と同五十七年(1982)の二度の工事で再建された。

東京都北区岸町の王子神社境内の関神社
境内に関神社が鎮座する。蝉丸公神霊,逆髪姫神霊,古屋美女神霊を祭神とする。
蝉丸法師は和歌や琵琶をよくした法師で『小倉百人一首』にも歌が採られているが,出生などは不明。
生来の逆髪を嘆く姉のために,侍女の古屋美女に命じて「かもじ(添え髪)」「かつら」を作らせたという伝承がある。
江戸時代,滋賀県大津市の逢坂山の関蝉丸神社(せきせみまるじんじゃ)を,かつら業界関係者が王子神社境内に勧請したのが起源である。
今も頭髪の神様として崇敬を集めている。

(東京都北区王子本町1-1-12)
2017.5.28

王子神社(公式サイト)


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