新潟市神社探訪

厳嶋社(新潟市江南区大淵〈おおぶち〉)

大淵の厳嶋神社
厳嶋社は,大淵集落の中に鎮座する。背後には水田が広がる。
「神社明細帳」に「中蒲原郡大淵村字藥師堂 無格社・嚴嶋社」とある。
創立年は不詳。かつて「弁天様」と呼ばれたという。祭神は市杵嶋姫命(注)で,合殿に健御名方命を祀る。
大淵の厳嶋神社大淵の厳嶋神社
鳥居は新しい。拝殿両脇に石灯籠か狛犬でも据えるのか,工事中であった。鳥居も塗り替えて間もないのか,やや違和感のある彩色である。

注:市杵嶋姫命(イチキシマヒメミコト)は,筑紫の宗像大社に祀られる三女神の一。アマテラスが弟のスサノヲと誓約を交わしたおり,スサノヲの長剣から誕生した神である。
宗像神の起源は,筑紫北部の海上を支配する豪族の守護神であったと思われる。この地が朝鮮半島との交通の要衝に位置するため,しだいに海神としての崇敬が高まり,また神功皇后の朝鮮進攻のさいに神験を現したとも考えられた。
三女神のうち市杵嶋姫命がもっとも親しまれ,神仏習合の過程では弁財天(ヒンズー教の水神であるサラスヴァーティー)の垂迹とされ,水の神,農業神,さらに芸能の神,財福の神としていっそう流行した。
明治の神仏分離によって市杵島姫命が再び祭祀の前面に出ることになったが,依然として「弁天様」のままで信仰されている例も多い。
広島県宮島の厳島神社は宗像三神を祀る弁財天信仰の中心で,これを分霊して各地に弁天様が勧請された。
当社は,新潟市内で唯一の厳嶋神社である。

(新潟市江南区大淵2538,新潟交通バス大淵停留所より徒歩15分)
2003.10.23


新潟市江南区(大江山地区)神社