桃崎浜の荒川神社は,JR(羽越本線)坂町駅の北西4.2キロメートルに鎮座する。
荒川の左岸の河口に近い場所である。
「神社明細帳」(明治十六年)に「北蒲原郡桃崎濱字上相子 無格社・荒川神社」とある。
祭神は天鈿女命(アメノウヅメミコト)で,桃崎浜の産土神であるが,創立年月は不詳。
当社は「延喜式」所載の「荒川神社」(磐船郡八座の一)の論社である。
鎮座地は荒川の河口に近いが,この場所は古代・中世には荒川の川筋ではなく,また社号も「若宮八幡宮」を享保二年(1717)に「荒川神社」に改称したとされることから,式内社とすることに懐疑的な見解もある。
現在,「式内・荒川神社」として有力視されているのは,村上市小岩内の荒川神社であるが,『温古の栞』(二十七篇)は,嘉吉年間(1441-43)に小岩内の荒川神社を勧請したのが当社であるという。
石の鳥居をくぐって参道を進むと,拝殿前の朱の鳥居が見えて来る。
拝殿の屋根の形が独特である。
拝殿裏に建つ本殿は大きく,屋根がやはり独特の曲面で構成されている。
境内に三南渡神社(みなとじんじゃ)が鎮座する。
境内社の稲荷神社(倉稲魂命)と金刀比羅(崇徳天皇)を明治四十年(1907)に合併して社号を改めたものである。
狛犬は,文政八年(1825)に奉納されたもので,かつて朱鳥居の前に置かれていたが,傷みが激しいためここに移された。
(新潟県胎内市桃崎浜187,JR羽越本線坂町駅から徒歩40分 )
2004.8.28, 2009.9.5, 2014.7.20