新潟県神社探訪

白山神社(糸魚川市能生〈のう〉)

能生の白山神社
白山神社は,能生駅(えちごトキめき鉄道)の北東2キロメートルに鎮座する。
「神社明細帳」(明治十七年)に「西頚城郡能生町村字 中山 宮ノ上 村社 白山神社」とある。
社域は海岸線に接しているが,社殿の背後に急峻な岩山(尾山とも権現山とも称し,「能生白山神社社叢」として昭和十二年に国の天然記念物に指定された)がそびえる。
本殿は国の重要文化財に指定されている。
古くから奴奈川姫を祭っていたが,元正天皇の時(715-724)に加賀白山から菊理比賣命を勧請して以降は「白山権現」と号して修験の道場となった。
明治末,祭神を奴奈川比賣命に改めた。現在は奴奈川比賣命,伊佐奈伎尊,大己貴命の三柱を祭神としている。
明治五年(1872),柏崎県より郷社に列せられたが,同七年,新潟県によって村社に列せられ,大正六年(1917),郷社に昇格した。

当社は『延喜式』所載の「奴奈川神社」の論社のひとつである。(一の宮の奴奈川神社田伏の奴奈川神社も式内・奴奈川神社の候補である。)
創立は大宝二年(702)と伝えるが,崇神天皇十一年(87B.C.)とする伝承もある。
能生の白山神社能生の白山神社
入母屋造妻入茅葺の大きな拝殿が目立つ。寛保年間(1741-43)に焼失して宝暦五年(1755)に再建されたのが現在の拝殿である。
関山神社(妙高市関山)松苧神社(十日町市犬伏)の社殿の様式に類似する。
背後に美しい本殿が建っている。

能生の白山神社境内の秋葉神社秋葉神社社殿内部
「明細帳」は境内神社を2社記録している。
八坂神社(素盞嗚尊)と秋葉神社(軻遇都知命)である。
境内に秋葉神社の社殿がある。天保十三年(1842)の建造で,かつては薬師堂であったという。
(「明細帳」は秋葉神社を「石祠」とする。薬師堂が秋葉神社に転用されたのであろうか。)
八坂神社は確認できなかった。本社に合併されているのであろうか。

白山神社境内の狛犬(左)白山神社境内の狛犬(右)
狛犬は手足が太く,ゴリラのような独特の姿である。

拝殿の背後の岩山に張り付つように,国の重要文化財の本殿が建っている。→白山神社本殿

(新潟県糸魚川市大字能生)
2005.7.23,2006.7.13

参考:白山信仰とは?


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