新潟県神社探訪

熱串彦神社(佐渡市長江〈ながえ〉)

佐渡長江の熱串彦神社
熱串彦神社(あつくしひこじんじゃ)は,両津港の南西2キロメートルの水田地帯に鎮座する。
「神社明細帳」(明治十六年)に「加茂郡長江村字竹ノ花 郷社・熱串彦神社」とある。
延喜年間(901-923)の創立と伝える古社で,『延喜式』神名帳の「阿都久志比古神社」(賀茂郡二座の一)に比定されている。
祭神は,阿田都久志尼命(アタツクシネ)で,明治五年(1872)に上横山村の金北山神社(金山彦命)を合併した。
阿田都久志尼命は,天日方奇日方命(アメノヒカタクシヒカタ),櫛御方命(クシヒカタ)ともいい,事代主神(コトシロヌシ)の御子神であり,賀茂氏の遠祖とされる。
(祭神を阿田都久志尼命とするのは誤りで,阿都久志比古命〈アツクシヒコ〉とすべきだという説もある。)
当社は,はじめ長江山の中腹に鎮座したが,承久年間(1219-21)に焼失し現在地に再建したという。明治五年(1672)に金北山神社を合祀した。
さらに当社は社号を「水尾明神」とし,往古は河崎の地にあったとする資料もある。現に河崎に水尾神社という古社があるが,詳細は不明。
明治六年,郷社に列せられ,昭和五年(1930)に県社に昇格した。

熱串彦神社拝殿熱串彦神社拝殿屋根
向拝の無い拝殿は,佐渡で時おり見かける形式である。
熱串彦神社本殿
本殿は屋根だけが見える。
熱串彦神社境内社
境内社が一社ある。稲荷神社(倉稲魂命)熊野神社(伊弉諾尊)金刀比羅神社(崇徳天皇)の合殿である。

熱串彦神社能舞台
境内には能舞台が建っている。明治以前の建築と伝える。

(新潟県佐渡市長江)
2006.3.10


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