新潟県神社探訪

貴渡神社(長岡市栃堀〈とちぼり〉)

栃堀の貴渡神社
貴渡神社(たかのりじんじゃ)は,旧栃尾市栃堀の巣守神社に隣接して鎮座する。
栃堀の庄屋・植村貴渡(1741-1821)は,幼名を角左衛門という。天明の飢饉(1784年)を体験した植村翁は,米作だけに頼ることの危険を察し,養蚕を奨励してこの地に織物産業を興そうと考えた。
翁は,大崎オヨ(?-1834)なる娘の開発した織物の技術をもとに,栃尾紬の技法を確立した。この功績によって地元で篤い崇敬を受けた。翁を栃尾織物産業の祖として祭るために建てられたのが貴渡神社である。
貴渡の孫の植村覚左衛門敏敬が弘化四年(1847)に「採桑貴渡霊神」という称号を受けて建立したという。
社殿には,越後で活躍していた名匠の石川安兵衛(雲蝶)が彫刻を施し,嘉永元年(1848)に完成した。
今は社殿全体が覆屋によって保護されている。
栃堀の貴渡神社正面
栃堀の貴渡神社正面栃堀の貴渡神社正面
蚕の世話をする様子と機織りの姿が,中国風の意匠で彫り出されている。
貴渡神社社殿の細部

石川雲蝶の作品は栃尾の秋葉三尺坊奥の院や三条市の石動神社などでも見ることができる。

(新潟県長岡市栃堀,巣守神社境内)
2006.6.10


旧 栃尾市南部(東谷,荷頃,入東谷,西谷,中野俣,半蔵金)神社