新潟市神社探訪

住吉社(新潟市西蒲区西汰上〈にしよりあげ〉)

西汰上の住吉社
住吉社は,旧西川町の西汰上地区に鎮座する。同じ西汰上の諏訪社から南に500メートルほど西川をさかのぼった場所である。
「神社明細帳」(明治十六年)に「西蒲原郡西汰上村字居付 無格社・住吉社」とある。
上筒男命を祭神とする。
創立年月は不詳。はじめ某家の守護神として勧請されたが,しだいに信徒が増え,社地が寄付されて村で祭るようになったという。
西汰上の住吉社
鳥居と石祠だけの簡素な境内である。(「明細帳」にも「本社石祠」とある。)
西汰上から弥彦山と角田山
このあたりから弥彦山と角田山の眺めがいい。

(補説)
『西蒲原郡志』(明治四十年)は,当社を『延喜式』所載の「船江神社」(蒲原郡十三座の一)とする。
いわく「蓋し延喜式内にして往古本村飛田庄小吉中浜に属し,今と所在異なり(中略)舟江社と称し郷里の産土神たり(中略)別に一社を勧請して改めて之を産土神とす,(今の村社是なり)社殿も何時か焼亡し,今尚仮殿にして旧観を失ひし由なり」と。
旧西川町が編纂した『ふるさとにしかわ町』(第二集)の解説もこれにもとづく伝承を紹介している。
しかしながら,『西蒲原郡志』は「船江神社」の祭神を天照皇大神としており,当社が住吉社であることと一致しない。また『西蒲原郡志』の「今の村社」とは「伊邪那岐社(鎧郷村大字西汰上)」を指すが,今はこの地に伊邪那岐社はなく,当社のほかには健御名方富命を祭る諏訪社が鎮座するだけである。
このあたり西汰上地区の神社について混乱がある。
現在の通説では,「式内・船江神社」は,西区赤塚の神明宮と中央区古町通の船江大神宮(神明宮)のいずれかではないかとされており,当社を式内社とする見解は顧みられていない。

(新潟県新潟市西蒲区西汰上267)
2008.3.20


新潟市西蒲区(旧 西川町〈鎧郷地区〉)神社