新潟県神社探訪

都野神社(長岡市与板町与板乙〈よいたおつ〉)

与板町都野神社参道入り口
都野神社(つのじんじゃ)は,与板町の横町に鎮座する。戦国時代,直江氏の居城のあった城山に近い。
「神社明細帳」(明治十七年)に「三島郡與板村字上ノ山 村社・都野神社」とある。
当社の創立は中世以前に遡り,『延喜式』所載の「都野神社」(古志郡六座の一)に比定される古社である。大正十年(1921)郷社に列せられた。
宗像三神(多紀理姫命,市杵島姫命,多岐津姫命)と誉田別尊・息長足姫尊を合殿で祭っている。
宗像三神を祭っていた古社が『延喜式』所載の神社である。
永正年間(1504-1520)宇佐八幡宮を合祀し,今は「与板八幡宮」という呼称も定着している。(なお,本与板の八幡神社長岡市芹川町の都野神社も「式内・都野神社」の候補である。)
貞治年間(1362-68)八幡平に遷座し,寛永年間(1624-1643)に藩主の牧野氏が現在地に遷したとされる。(古い鎮座地については諸説があって判然としない。天正年間(1573-1592)に直江兼続が遷座にかかわったとする記録もある。)
与板町都野神社境内全景
旧社殿は天保七年(1836)に焼失し,再建された。拝殿と幣殿は嘉永元年(1840)に建造されたものである。
本社のほか,境内社が並んでいる。「神社明細帳」の記録する境内社は,神明神社(天照大神,豊受大神),金刀比羅神社(大物主命),菅原神社(菅原道真朝臣),稲荷神社(宇気母知命),大麻日子神社(佐田比古神)の五社である。
与板町都野神社拝殿内部与板町都野神社拝殿の彫刻
拝殿内には八幡宮の額が掛かっている。

与板町都野神社本殿与板町都野神社本殿の細部
拝殿・幣殿の奥に本殿が独立して建っている。天保十一年(1840)の建造で,熊谷の名匠・小林源太郎による彫刻が施された絶品である。源太郎自身による「八幡宮御本社彫物仕用」も当社に残されており,彫刻とともに長岡市の文化財に指定されている。

なお,当社から北方2キロメートルの本与板の地にも古い八幡神社があり,当社とのなんらかの関係をうかがわせるが,詳細は不明。

(新潟県長岡市与板町与板乙)
2009.1.18, 2009.4.25


旧 与板町神社