新潟県神社探訪

西奈彌羽黒神社(村上市羽黒町〈はぐろまち〉)

村上市羽黒町の西奈彌羽黒神社参道入り口
西奈彌羽黒神社(せなみはぐろじんじゃ)は,JR(羽越本線)村上駅の東1.2キロメートル山居山(さんきょやま)の中腹に鎮座する。
「神社明細帳」(明治十六年)に「岩船郡村上字羽黒町 村社・西奈彌羽黒神社」とある。
当社は「延喜式」の「西奈彌神社」(磐船郡八座の一)の論社である。村上駅北東1.5キロメートルに鎮座する西奈彌神社(瀬波浜町)も西奈彌神社の候補である。
当社は,持統天皇の元年(687)に奈津姫命(ナツヒメノミコト)を奉祀したと伝えられる。
この時は,当社の北東800メートルの臥牛山の山頂に祭られていた。奈津姫命は当地を開発したとされる神で,羽戸山命(ハドヤマノミコト;素戔嗚命の孫)の子とされる。
時代が下って,天正年間(1573-1591)に本庄繁長(ほんじょうしげなが;上杉家の重臣)が出羽の羽黒山から勧請して西奈彌羽黒三社大権現として崇敬した。
慶長三年(1598)に村上勝頼が臥牛山の中腹に社地を遷したが,寛永十年(1633)に堀直奇(ほりなおより)が現在地(山居山)に遷座した。
祭神は,奈津姫命,倉稲魂命,月読命である。
明治五年(1872)に村社に列せられた。さらに明治二十七年(1894)に郷社,昭和三年(1928)に県社となった。 「明細帳」は境内社として,神明宮(天照皇大御神),八幡神社(誉田別尊),春日神社(天児屋根命),稲荷神社(倉稲魂命),愛染神社(鈿女命)の五社を記録している。
明治四十年(1907)に羽黒町の愛宕神社(迦具土命)と神明宮(天照皇大御神)を,四十二年(1909)に字牛沢の八幡神社(聖母大神,応神天皇,仲哀天皇)を,四十四年(1911)に字長井町の秋葉神社(火産霊神)を合併した。

西奈彌羽黒神社社殿前鳥居
西奈彌羽黒神社拝殿
やや長い石段の参道を登った平坦地に重厚な社殿が建っている。明治十二年(1879)の造営である。
西奈彌羽黒神社拝殿破風西奈彌羽黒神社拝殿
西奈彌羽黒神社拝殿木鼻西奈彌羽黒神社拝殿向拝
向拝には二匹の竜が潜んでいる。

西奈彌羽黒神社本殿
拝殿の背後に流造りの本殿が見える。
元禄三年(1690)に建造された旧本殿は,境内の摂社の神明宮の社殿として保存されている。
西奈彌羽黒神社境内社

(新潟県村上市羽黒町)
2010.7.10


旧村上市(岩船,村上町)神社