新潟県神社探訪

熊野神社(阿賀町九島〈くしま〉)

九島の熊野神社参道入り口
熊野神社は,旧上川村と旧津川町の境界近くの九島地区に鎮座する。
「神社明細帳」に「東蒲原郡九島村字九島 村社・熊野神社」とある。
高津宮(仁徳天皇)の十六年(328),当地の許々彦なるものが創立したという伝承がある。
初め,伊弉冉尊一柱を祀り「九野社」と称したが,天平四年(732)の社殿改築の際,事解男命と速玉男命を合祀して「久真野社」と改めた。
大同・弘仁のころ(806-823),この地を訪れた空海が本知仏を置き,以後「熊野権現」と称した。
寛文九年(1669),仏像を廃して「熊野神社」と改めた。
明治五年(1872),村社に列せられ,同十一年,幣殿と拝殿を再建した。
明治四十年(1907)に,大倉村字土井の御倉神社(保食命)を合併した(土井地区の氏子が七名村北野神社へ氏子替えのため)。
四十一年には境内社三社のうち若木神社を合併した。さらに四十二年には字地蔵屋敷の山神社(大山祇命)を,四十五年には字長木の熊野神社(伊弉冉尊,事解男命,速玉男命)を合併した。
九島の熊野神社社殿九島の熊野神社本殿
拝殿前の広場はゲートボール場となっている。
九島の熊野神社拝殿向拝部分九島の熊野神社拝殿細部

九島の熊野神社境内九島の熊野神社境内御神木
社殿の脇のケヤキは,旧上川村指定の天然記念物である。
境内には小祠が集められている。「明細帳」が記録する境内社は,菅原神社(天穂日命,大山祇命),若木神社(少彦名命),山神社(大山祇命)の三社である。このうち若木神社は明治四十一年(1908)に本社に合併された。
『新編会津風土記』には,本社の南に天満宮が祭られていたとあるが,「明細帳」の菅原神社であろうか。

九島の熊野神社参道九島の熊野神社狛犬(吽像)九島の熊野神社狛犬(阿像)
参道途中に置かれた狛犬は,昭和三十七年(1962)の奉納である。

(新潟県東蒲原郡阿賀町九島834)
2011.5.14


阿賀町(旧 上川村地区)の神社