このあたりは菡萏(かんたん)という珍しい地名の港町である。海岸のすぐそばに唐突に岩山が屹立している。
ここから高崎山や別府湾の眺めもよく,この岩が高市連黒人(たけちのむらじ・くろひと)の歌にある「笠縫の島」ではないかとされている。
手前の石は,高市黒人の歌を刻したもの。
四極山(しはつやま)うち越え見れば
笠縫の島こぎかくる
棚無し小舟
山の脇に生目神社と称する小さな石祠がある。
かつてこの地は風光明媚で知られ,明治十七年(1884)にここに港が開かれてからはいっそうにぎわいを見せたという。
今わずかに残る建物によって,当時の菡萏遊郭のにぎわいを偲ぶことができる。
(大分市生石港町,JR西大分駅より徒歩5分)
2003.11.13