おおいた百景

伽藍石仏(大分市永興〈りょうご〉)

伽藍石仏のある3つの窟龕
上野台地に建つ大分市美術館のちょうど崖下あたりに摩滅した磨崖仏がある。
久大線の踏み切りを超えて坂道を少し登ると,「ガランさま」「伽藍大明神」などと呼ばれている杵築神社が現れる。
小道を挟んだ向い側の崖に三つの窟龕があり,中に仏像が彫られている。これが,大分市指定史跡(1974)の伽藍石仏である。

三つの石窟があるが,野ざらしのためいずれも磨耗が激しい。鎌倉後期から室町時代の製作と推定されている。
伽藍石仏阿弥陀如来坐像伽藍石仏阿弥陀如来坐像
中央の石窟には阿弥陀如来坐像の浮彫りがあり,光背の朱が残っている。
向かって右の石窟には阿弥陀如来坐像を中心として,左に勢至菩薩像,右に観音菩薩像(欠失)が彫られているという。
伽藍石仏
左の窟には仏像は残っていない。

大友氏時代までは,この一帯に太平寺という寺院(天台宗と伝えられる)が勢力をはっていたが,この伽藍石仏はその寺院ゆかりのものである。

(大分市永興1948,JR 久大線古国府駅下車徒歩10分)
2001.4.1, 2004.10.23


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