大分神社探訪

若宮八幡社(日出町〈ひじまち〉)

日出町若宮八幡社正面
若宮八幡社は,JR(日豊本線)日出駅の西500メートルに鎮座する。社殿は南面し日出港を見下ろす。
天徳三年(959)郡司が八津島大明神(日出町豊岡)から二神を勧請し,翌天徳四年(960)大神郷司緒方惟季が山城国の石清水八幡から勧請して社殿を現在地に建て,日出,津島,川崎三か村の産土神としたのが発祥とされる。
後,大友能直(豊後大友氏の初代当主)が崇敬したが,文禄年間(1592-95)日出城主の毛利兵橘重政によって社殿が壊された(彼は別名を森兵吉ともいい,キリスト教徒だったという)。御神体は村民の間を転々とし,宗行の天満社などでも奉祭されたという。
慶長七年(1603)日出藩主となった木下延俊が御神体を復して神殿建立,社領寄進などおこない,当社は復興した。参道の途中に見える二の鳥居は延俊が寄進したものである。
現在の祭神は,大雀命,足仲彦命,息長足姫命,誉田別命,大山守命,宇治皇子,市杵島姫命である。

日出町若宮八幡社正面日出町若宮八幡社狛犬吽形
石段を登った所に置かれた玉乗り形の狛犬。つり上がった目に特徴がある。
日出町若宮八幡社狛犬阿形
左から絵馬堂,拝殿,神楽殿。
いずれも木下俊長(1649-1716,日出藩三代藩主)が建立したもので,平成十五年(2003)に修復工事がおこなわれた。

日出町若宮八幡社拝殿正面日出町若宮八幡社本殿
入母屋造りの拝殿と背後の本殿(流造り)。

境内社として,神社明細帳には高良社(武内玉垂命),天満社(菅原神),金刀比羅神社(大物主命),愛宕社(軻遇突智命,豊臣秀吉,加藤清正,事代主命,蛭兒命,綿積命)の四社が見える。
うち,豊臣秀吉と加藤清正は,慶応四年に藩主木下俊愿によって合祀されたもので,事代主命,蛭兒命,綿積命は別の場所にあった恵美須社の神を大正十二年に合祀したものである。
現在は西宮社と神明神社もある。
なお,南参道(拝殿正面)に建つ二層の楼門は,日出町の有形文化財に指定されている。(→若宮八幡社楼門

(大分県速見郡日出町2831番地)
2007.12.11


別府・日出地区神社探訪