大分神社探訪

橘木神社(竹田市荻町柏原〈おぎまちかしわばる〉)

荻町柏原の橘木神社
橘木神社(たちばなぎじんじゃ)は,JR(豊肥本線)豊後荻駅の南2.5キロメートルに鎮座する。
天津児屋根命と足利秀景を祭る。
天津児屋根命は,奈良春日大社の祭神で,中臣氏(藤原氏)の祖とされる神である。柏原の地には藤原氏が多いことから,藤原一族が氏神として春日大社から勧請したのが発祥と考えられる。
当社には,足利尊氏の子孫の秀実が創立したという伝承が残っている。それによると,尊氏の子の直冬が石見国に隠棲したが,その子の秀景が豊後国の柏原郷に来て垣田の地に住み,垣田を氏とした。秀景の孫の秀実は大友氏に仕えたが,永享七年(1435)讒によって罪を得た。しかし夢に祖父の秀景が現れ,「冤罪を晴らそう」と告げた。果たして秀実は赦された。よって秀実が祠を建てた。
文明年間(1469-86)秀実の孫の秀守が現在地に遷し,橘木明神と称した,と。
(『直入郡志』〈1923〉引く「豊後国志」による)

荻町柏原の橘木神社拝殿正面橘木神社拝殿内部
社叢の多くが伐採されたようで,境内は明るく落ち着かない。
橘木神社本殿橘木神社本殿橘木神社本殿
本殿は本格的な流れ造りで,細部の彫刻もよく保存されている。とはいえ,不思議な色使いである。

(大分県竹田市荻町柏原)
2008.3.29


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