大分神社探訪

御手洗神社(豊後大野市三重町上田原〈みえまちかみたわら〉)

豊後大野市三重町上田原の御手洗神社参道入口
御手洗神社(みたらいじんじゃ)は,JR(豊肥本線)三重町駅の北2.5キロメートル,旧三重町の上田原地区に鎮座する。
境内に設置された「上田原御手洗神社御由緒」によると,祭神は伊邪那美神,速玉之男神,事解之男神であり,すなわち熊野神社である。
後に大山積神,大國主神,宇迦之御魂神,火之迦具土神,大雀命神が合祀された。
創立についての「御由緒」の記述には混乱がある。要旨は以下のとおり。

宝亀二年(771)に光仁天皇が豊後を訪れた。
天皇は熊野から西に向かう光の夢を見た。
天皇の命によって太政大臣の藤原公季が豊後に向かった。
公季は泉水溢れる霊地を見つけ,社殿の建立を始めた。
774年に社殿が完成した。
寶地山御手洗熊野大神と名付けた。

光仁天皇(709-782)が豊後に来たとは考えにくいし,藤原公季(ふじわらのきんすえ)と光仁天皇の生涯は200年以上離れている。

豊後大野市三重町上田原の御手洗神社二の鳥居豊後大野市三重町上田原の御手洗神社境内のナギ
参道をまっすぐに進むと,神橋の手前にナギ(マキ科ナギ属)の古木(樹高18m)がある。
ナギは熊野神社の神木とされ,当社のナギも神社創建時に熊野から持参して植えたと伝える。
大分県指定(1972年)の天然記念物である。
豊後大野市三重町上田原の御手洗神社の力石豊後大野市三重町上田原の御手洗神社の池
参道の両側に神池があり鯉が泳いでいる。湧水が見られるが,温泉成分か何かが混じっているのであろうか,乳白色の不思議な色合いである。
岸辺に力石が置かれ,池の中には小祠がある。
豊後大野市三重町上田原の御手洗神社社殿正面豊後大野市三重町上田原の御手洗神社拝殿の額
拝殿は開放的な瓦葺の入母屋造である。
豊後大野市三重町上田原の御手洗神社本殿豊後大野市三重町上田原の御手洗神社拝殿
拝殿の背後に流造の本殿がある。
豊後大野市三重町上田原の御手洗神社本殿豊後大野市三重町上田原の御手洗神社本殿豊後大野市三重町上田原の御手洗神社本殿
本殿の細部の造形はたいへん美しい。

豊後大野市三重町上田原の御手洗神社境内の石祠
境内に石祠が並んでいるが,祭神などは不明。

(大分県豊後大野市三重町上田原)
2016.10.10


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