諸国神社めぐり

北野天満宮境内(上京区上京区馬喰町〈ばくろちょう〉)

北野天満宮の広大な境内には約五十座の摂社,末社が鎮座する。

地主神社

北野天満宮境内の地主神社
本社の裏に鎮座する地主神社は,天満宮の創建以前からここで天地の神を祀っていた重要な神社である。
祭神は天神地祇で,相殿で敦実親王,斎世親王,源英明朝臣を祀る。
『續日本後紀』(巻五)の承和三年(836)の記事に「爲遣唐使祠天神地祇於北野也(遣唐使のために天神地祇を北野に祠る)」とある。天満宮の創建より百年以上さかのぼる。
敦実親王(あつみしんのう,893-967)は宇多天皇の皇子で,音楽や和歌に通じた才人である。
斎世親王(ときよしんのう,886-927)も宇多天皇の皇子で,菅原道真公の娘(寧子)を妃とした。道真公が左遷され,親王は出家して真寂と称した。
源英明(みなもとのふさあきら,911-939?)は斎世親王の子である。

火之御子社

北野天満宮境内の火之御子社
火之御子社は楼門と三光門の間に鎮座する。
天満宮の創建以前に「雷公」として祀られていた。元慶元年(880)に藤原基経(ふじわらのもとつね)が祭った記録があるという。
現在も6月1日に「火鑽式(ひきりしき)」がおこなわれている。

裏の社(御后三柱)

北野天満宮境内の裏の社
本殿の背後に,本殿とは背中合わせに祀られているのが裏の社(うらのやしろ)である。
天穂日命,菅原清公卿,菅原是善卿が「御后三柱(ごこうのみはしら)」として祀られている。
天穂日命は道真公の遠祖である。
清公卿は道真公の祖父で,遣唐使として空海や最澄とともに入唐し,文章博士となり,菅原氏では初めて公卿に列せられた。
是善卿は道真公の父で,文章博士となり参議に列せられた俊才で,教育者として多数の人材を育成した。