新潟市神社探訪

乙子神社(新潟市中央区沼垂東〈ぬったりひがし〉)

乙子神社社頭
乙子〈おとご・おとこ〉神社は,沼垂白山神社の向かいに鎮座する旧村社である。社地は西向き。
「神社明細帳」(明治十六年)に「中蒲原郡沼垂町村 村社・乙子神社」とある。
應安元年(1368),海難を鎮めるために創建したと伝える古社である。祭神は建諸隅命(タケモロズミ)で,相殿で天穂日命(アメノホヒ)を祭る。
主祭神の建諸隅命は,越後国一の宮として有名な弥彦神社の祭神・天香山命(アメノカゴヤマ)の後嗣の神であり,弥彦神社の境内に廟(乙子神社御神廟)と社殿(乙子神社)が祭られている。
当社は弥彦に鎮座する乙子神社を勧請したのであろうか。

もと沼垂白山神社の境内に祭られていたともいい,両社の関係は深い。かつて白山神社でもめ事があり,乙子神社の神職が白山神社の管理にも当たったという。
明治初年に成った小池内廣『越後國式内神社考』は,「川合神社」の項に,胎内市熱田坂の川合神社とともに,この「沼垂町乙子明神」を「式内・川合神社」とする説のあることを紹介し,これを否定している。
乙子神社正面乙子神社拝殿社号額
かつて拝殿の左に祠があり「天王宮」の額が掛かっていた。拝殿の右の社殿は金刀毘羅神社である。
乙子神社拝殿内部乙子神社本殿
拝殿の背後に本殿がある。

金刀毘羅神社金刀毘羅神社内部
「神社明細帳」(明治十六年)は,境内社四社を記録する。
金刀比羅神社(大物主命,崇神天皇),住吉神社(底筒男命,中筒男命,上筒男命),草薙神社水神社合殿(倭建尊,水波女命),須賀神社(須佐雄尊)である。
かつて拝殿の左手に祀られていた「天王宮」が須賀神社であろうか。住吉神社と草薙神社は未確認。

(新潟市中央区沼垂東1-3-2,JR新潟駅から徒歩20分)
2003.2.17,2004.2.28,2016.6.11


新潟市中央区(沼垂地区)神社