大分市神社探訪

王子神社(大分市王子北町〈おうじきたまち〉)

王子神社の鋳物の鳥居
王子神社は,春日神社の西500メートルに鎮座する。
伝承によると,延久元年(1069),紀州熊野の道士が王子神の神託を得て西国を歴遊した。一行はここ駄原の海辺に至って王子権現の神霊を拝し,延久五年に宝殿を造営したのが発祥である。
祭神は,伊邪那美大神,速玉之男大神,豫母都事解之男大神(ヨボトジコトサカノオノカミ)である。
王子神社の拝殿王子神社本殿

王子神社の鳥居銘文
江戸時代,この一帯を駄ノ原(だのはる)村と称し,「駄ノ原鋳物師」と呼ばれる職人が多く居住した。戦国時代には,鋳物師は大友氏のもとで兵器の製作に従事した。
勢家町(せいけまち)の法専寺には鋳物の仏像が残っている。
王子神社のこの鳥居も,当時の駄ノ原鋳物師(植木氏,渡辺氏,吉松氏など)の作品として貴重である。銘文から寛政八年(1796)に府内藩主の松平近儔(ちかとも)によって奉納されたことが知られる。
1945年の米軍空襲によって一部を損傷したが,柱などは製作時のもので,大分市の重要文化財に指定されている。

王子神社境内の天神社王子神社狛犬
拝殿横に天神社が祭られている。

(大分県大分市王子北町,JR西大分駅より徒歩15分)
2007.3.28


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